4. 胆道

1. 胆道の解剖

胆道は肝細胞が産生した胆汁を十二指腸に分泌する通り道です。胆道は肝内胆管、肝外胆管、胆嚢、乳頭部に区分されます。肝内胆管については「5. 肝」を参照して下さい。割面では胆嚢は粘膜層、固有筋層、漿膜下層、漿膜からなる層構造を示します。肝外胆管は粘膜層と線維筋層からなっています。

肝外胆道系の区分 (胆道癌取り扱い規約第6版)

1) 肝外胆管:門脈臍部右縁から門脈前後枝分岐点左縁が肝内胆管と肝外胆管の境界でCTにより判定されます。肝外胆管は、肝門部領域胆管と遠位胆管に区分されます。胆嚢管合流部までが肝門部領域胆管で、胆嚢管合流部から十二指腸壁までが遠位胆管です。

肝門部領域胆管(Bp)
遠位胆管(Bl)

2) 胆嚢:胆嚢は袋状の構造をしています。一方が細くなって胆嚢管となって総肝管につながります。胆汁を貯留する役割があり、内腔に暗緑色で粘り気のある液体を認めます。底部の頂点から胆嚢管移行部までの長軸を3等分し、底部、体部、頚部とします。

胆嚢底部(Gf)
胆嚢体部(Gb)
胆嚢頚部(Gn)
胆嚢管(C)

3) 乳頭部(A):胆道が十二指腸に開口する部分は隆起しているため乳頭部と呼ばれます。開口部は胆汁分泌を調節するOddi筋に囲まれています。胆管が十二指腸壁(固有筋層)に貫入してから十二指腸乳頭開口部までで、乳頭部胆管(Ab)、乳頭部膵管(Ap)、共通管部(Ac)、大十二指腸乳頭(Ad)に分けられます。

2. 胆道の検体

最も多いのは胆嚢結石症による胆嚢摘出検体です。胆嚢癌では胆嚢結石症の疑いで胆嚢が摘出されることがあり、癌であることが判明した後に、胆管切除、肝切除あるいはリンパ節郭清が追加されることがあります。未固定で提出された場合は、板に虫ピンなどで貼りつけ平坦にすると切り出しやすくなります。肝門部・上部胆管に対しては胆管切除と肝切除、中下部胆管癌、乳頭部癌に対しては膵頭十二指腸切除が標準術式となっています。

 

3. 胆道の切りだし

1) 名前とIDの確認

2) オリエンテーション
漿膜面を識別します。胆嚢は胆嚢管を目印にします。断端に関しては執刀医に確認しましょう。

3) 計測と肉眼所見の記載
検体の大きさを計測します。画像診断では総胆管の内径は6mm以上を拡大とすることが多いようです。狭窄や閉塞があると、それより肝に近い側が拡張します。過去に胆嚢摘出術を行ったことがあっても拡張するようです。
内容物の観察(胆石については数、大きさ、色を観察)、粘膜面、壁肥厚の有無、その他病変について肉眼所見をとります。リンパ節(例えば胆嚢頚部周囲)があるか確認し、あれば提出します。漿膜面が認められれば、腹膜炎を思わせる白色調の付着物や播種性転移を疑わせる結節がないか確認します。

4) マーキング
胆嚢頚部など断端をマーキングするとオリエンテーションがわかりやすくなります。また腫瘍の存在が疑われる場合は断端の他に漿膜面をマーキングするとわかりやすいかもしれません。

5) サンプリング

(1) 慢性胆嚢炎、胆嚢ポリープ

① 腹腔鏡手術では胆嚢が術中に破裂することがあります。もし癌が存在していた場合、再発する可能性がありますので、まず破裂の有無を確認して下さい。
② 腹腔鏡下摘出術が大部分ですが、漿膜面に焦げた跡がない場合は開腹摘出術が行われた可能性があります。周囲臓器との癒着や上腹部手術の既往などその理由が記載されていないか確認してください。肝に切り込むと出血するため、通常肝組織は付着していません。
③ 慢性胆嚢炎の場合、長軸方向に割をいれ、病変の有無を確認し、代表的な割面を長径に沿って1本作製します。薄い検体であれば、ロール状に巻いて切り出せば、1ブロックに入ります。胆嚢底部に肥厚がある場合は腺筋症の可能性がありますので切り出します。
③ 淡黄色で複数存在する小型のポリープはコレステロールポリープと考えられます。最大のポリープを含む割面を標本にします。
④ コレステロールポリープ以外のポリープは全てブロックにしましょう。広基性あるいは10mm以上の場合は癌である可能性が高いと言われています。
⑤ 胆嚢管断端および胆嚢管近傍のリンパ節は必ず切り出します。胆嚢癌の約半分は良性病変として切除され、病理診断によって発見されると記載された文献もあり、注意深い観察が必要です。ただし、上皮内癌や早期癌は肉眼的にわからないこともあります。胆嚢炎として切除された検体に漿膜下層まで達する癌が認められた場合、追加で肝切除やリンパ節郭清が行われることがあります。また、胆嚢管断端の結果によっては胆道系の切除が行われることがあります。

胆嚢コレステロールポリープ

(2) 胆嚢癌

① 腫瘍が漿膜側にあるか肝臓側にあるか確認します。
② 胆嚢管断端を輪切りで3~4片切出します。
③ 腫瘍結節部を長軸方向に平行あるいは垂直に切り出します。
④ 固有筋層まで浸潤している場合は肝組織も数mmほど切除されている場合があります。漿膜下層以深であれば肝切除が同時に行われる場合があります。また、十二指腸に浸潤していた場合は合併切除されます。肉眼的に播種性転移がないことを確認してください。主腫瘍から離れた漿膜面に白色の結節が認められれば切り出しましょう。次に胆嚢からの直接浸潤部を切り出します。切除肝(術前に門脈塞栓術が行われていることがあります)は5mmごとにスライスして遠隔転移がないことを確認した後に断端と非腫瘍部を切り出します。十二指腸が切除されていればその近位断端、遠位断端を切り出します。

(3) 肝外胆管癌

① 胆管・肝切除標本:胆管を輪切りにするように連続的に切り出します。胆管閉塞による黄疸が腫瘍発見の契機となることが多く、通常腫瘍の肝側胆管は拡張しています。胆管炎を合併していると腫瘍の広がりが肉眼的にわかりにくいことがあります。腫瘍の部位および断端に関しては執刀医に確認してください。原発性硬化性胆管炎が背景に存在する可能性がありますので、非腫瘍部の胆管および肝組織も切り出しましょう。
② 膵頭十二指腸切除標本:切り出し方は膵の項目を参照して下さい。遠位胆管癌、乳頭部癌の場合は、検体を水平断(CT断)にすると、総胆管に直交する割面が出るためわかりやすいと思います。膵浸潤があれば切り出してください。潰瘍形成の有無を確認してください。

胆道癌切除後断端陽性例やリンパ節転移陽性例に対し、化学療法や放射線療法が施行されることがあります。ただし、断端陽性でも上皮内癌であれば陰性の場合と予後には差がないという報告があります。

 

4. 肉眼像と切りだしの実際

胆嚢癌

胆管癌

十二指腸乳頭部癌